栄養と遺伝子と統合失調症の関係「統合失調症と脂肪酸」


今日は「統合失調症と脂肪酸」と題した都医学研の都民講座がありましたので受講してきました。
講師は理化学研究所の古川武男さんです。
最新の医学研究から、色々なことが分かってきています。

【要約】
クリップ 統合失調症には遺伝子の多型が関連、脂肪酸代謝に関連する遺伝子に異常を持っている人がいる
クリップ 母親の妊娠時の栄養状態によって統合失調症になるかどうかの確率が変化する
クリップ 統合失調症の初期症状を抑える作用がある栄養素がある

$メンヘル女子のライフ&ハックス by統合失調感情障害(元統合失調症)-講演会会場

【統合失調症と遺伝要因】
人の多様性は、遺伝的要素と環境要素のかけ算である。
芥川龍之介は「人生とは畢竟、遺伝と環境と偶然だ」と、偶然まで含めている。

ゲノムの個人差にはSNP(スニップ)という塩基置換がある。
ヒトのDNAは30億塩基対があるが、SNPは数百塩基対に1個、全部で1,000万カ所発生する。
SNPで統合失調症に関連のあるゲノムの箇所を調べることができる。

全ゲノム解析から分かったこと:
精神疾患はありふれた疾病にも関わらず、発症に寄与する効果が大きい遺伝子のSNPは見つからない。
発症には非常にたくさんの遺伝子のSNPが必要かもしれない。

ゲノムの個人差のもう一つにはCNVがある。
染色体22番q11領域の欠損が統合失調症と関連があるが、それでも発症する割合は約50%。
ゲノムが変化していても、1カ所では統合失調症になるとは限らない。
22q11.2欠失症候群は、3千~6千人に1人の割合でいる。
統合失調症の発症率が一般人口の最大50倍。

その他の統合失調症関連の異常として、
・GLO1遺伝子の異常によるペントシジンの高値
・PMX28遺伝子の多型
がある。

【統合失調症と環境要因】
オランダの冬の大飢饉の時に生まれた子どもは統合失調症の発症率が2倍と高かった。
中国の飢饉でも同様に2倍に跳ね上がっていた。
不足していた栄養素は、ビタミンD・葉酸・ホモシステイン・鉄・脂肪酸。

ビタミンD:
紫外線を浴びるとできるので、紫外線の少ない緯度の高い地域に統合失調症が多い。
生後1年間の間、ビタミンDサプリを与えないと統合失調症の発症率が増加。
ビタミンDの濃度が高すぎてもよくない。

葉酸/ホモシステイン:
妊娠期の第3トリメスター(最後の方)のホモシステインレベルが高いと統合失調症の発症リスクが2倍。
ただし、葉酸を取りすぎると、子どものぜんそくが増加。

鉄:
妊娠中は貧血で不足しやすい。
鉄はドーパミンの合成に必要。ミエリンの合成に必要。
周産期の鉄欠乏は、海馬の発達に悪影響を与える。
妊婦のヘモグロビン濃度が10g/dlだと統合失調症の発症リスクは4倍増加する。

【統合失調症と脂肪酸】
人間の脳の6割が脂質でできている。ドコサヘキサエン酸とアラキドン酸。
人間は体内で作れないので食物から摂取するしかない。
赤ちゃんのために、2002年から粉ミルクにDPA・DHAを入れるようになった。

赤血球膜で不飽和脂肪酸、特にn-3型のDHAやEPAが投薬前から減少している。
不飽和脂肪酸異常所見は男性で顕著。女性は女性ホルモンのエストロゲンのお陰でDHAを作れる。
オメガ-3系のDHAには治療薬として補強作用がある

【統合失調症と脂肪酸関連分子】
病因研究の難しさがある。精神疾患は患者の主観に基づくものなので。
複数の病名間で原因が重なっている部分がある。
マウスの実験から解析、遺伝子を探せた。FABPの生涯で統合失調症が引き起こされているようだ。
人間を対象に、FABP7,4遺伝子のスクリーニングを行った。
FABP7,4変異体は、神経伝達速度の低下をもたらす可能性あり、ニューロンの可塑性変化、血管形成に影響もあるかもしれない。

マウスで脂肪酸を欠乏させたら、意識集中力の低下や即座核・前頭葉の働きの違いが現れた。
脳の発達期の脂肪酸欠乏はmultiple hitsの一つで、幾つも集まると病気になるかもしれない。

ARMS(前段階)の状態の人にDHAを投与したら、1年後の発症率が低下した。
ただし、妊娠期の過度のアラキドン酸で子どもの目に異常が発生することも。取りすぎはよくない。

【Q&Aから】
魚を多く食べる漁村で統合失調症の発症が少ないという報告はない。
発症後でも、脂肪酸を薬と一緒に摂ると、ある程度の効果はある。
個人的にはサプリよりも食品で摂った方がよいのではと思う。

<私の感想>
医療の実験の様子や、どのように解析するのか等、最新のお話を聞けてとても興味深い講演会でした。
DHAなど脂肪酸は、テレビでも血液サラサラみたいな感じで取り上げられていたと思います。
それが、統合失調症にも効果があるのですね。
でも、摂りすぎは逆効果のある栄養素もあるので、常識の範囲内で摂取したいと思いました。

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栄養と遺伝子と統合失調症の関係「統合失調症と脂肪酸」」への2件のフィードバック

  1. 名無し

    脂肪酸ということはDHAの他にEPAも含まれているんでしょうか?
    ペントシジンの高値はここでも言及されていたんですね。どこまで信用性が高まるか、いい結果がでるのか楽しみです。

    自分もピリドキサミン、脂肪酸に注目していこうと思います。ピリドキサミン、どれぐらい投与していくのかも気になります。

    栄養にもおっしゃってるように常識の範囲内で摂取しようと思いました。

    いつも有益な情報ありがとうございます。

  2. アスカ@メンヘルライフハック

    >名無しさん
    マウスの実験ではARAとDHAの欠乏エサでの結果が出ていましたが、EPAについては特に言及がありませんでした。人間に投与して結果がでたのもDHAです。ただし、統合失調症患者の赤血球膜で投薬前からの現象が見られたのはDHAやEPAのn-3系不飽和脂肪酸とのことでした。
    総合すると、減少はみられるが投与の効果は分からないみたいです。

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