カテゴリー別アーカイブ: おすすめの本

ムダなことは忘れよう!「脳と心の整理術」茂木健一郎・著

ムダなことは忘れて前向きに生きてみよう!という脳科学者の茂木センセーの本です。
単なる根性論的なお説教本ではなく、脳科学の知識も分かりやすく織り交ぜてあるので楽しく読めますし、脳に関するウンチクも身につきます。

これを読んで思ったのは、「やっぱり人間の脳ってよくできているわー」ということです。

raindrop

人間の脳は必要なものだけを取っておき、そうでもないものは忘れるという整理機能を持っています。
これがコンピューターだとそうもいかないです。
何が大事で何が大事でないのか判断が必要ですから。

何でもかんでも記憶しておいて取っておかないとというのは脳の機能としてはナンセンス。
学生時代までは記憶力がとても大事に位置づけられていましたが、そんなのは機械が覚えていればいいこと。
過去の記憶にとらわれて行動できないのが最も勿体のないことです。

また、人間の脳は素晴らしい適応力を持っていますので、私たちは日々変化に富んだ生活をしているはずなのに、それを「予定調和」と思ってしまう傾向があるそうです。確かに!

本当は今日の生活は一年前には想像もできなかったはずなのです。
なのに、「今のこの光景は一年前にはだいたい予想がついていた」と脳が思い込んでしまうのです。
わー、めっちゃあるある。

あと、良いなと思った箇所は「他力本願」についてのところ。
(他力本願って元々仏教用語で、他人任せという意味ではなく、阿弥陀如来の偉大な力だそうです。)
「実際の世の中は個人競技などではなく、他人の力を借りて物事を行うチーム競技です。つまり、他力本願の競争なのです。
他人といかに協力するか、その協力の上にどれだけいいものをつくるかの競争です。」
これは良い考えです。
なんでも一人で完結してやろうとは思わずに得意なことを出し合って生きていったほうがいいですよね。

この本は他にも、キーワードとして
馴化(ハビチュエーション)、ネオフィリア(新しい物好きである人間の本質)、スーパーチャイルド(岡本太郎やスティーブ・ジョブズなど過去のいやな記憶を忘れて新しいことを創造した人)などが登場します。

脳と心の整理術
脳と心の整理術

posted with amazlet at 12.07.21
茂木健一郎
PHP研究所
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この夏の知的好奇心を満たす一冊として読んでみてはいかがでしょうか。

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そっと背中押す本「置かれた場所で咲きなさい」渡辺和子・著

これは人生訓の名著です。
30代の若さで大学学長となりその後うつ病も体験した、現在85歳の修道女の方が書かれた本です。
字数が少なく、その分シンプルに人生の大切なことが凝縮されています。

もう既に有名な本なので(書店では平積み)説明はあまり要らないと思いますが、私の心に残った言葉を紹介します。

dandelion
photo by cygnus921

  

毎日を「私の一番若い日」として輝いて生きる。
歳を取ることは悲しいことではない。
新しい何かにチャレンジして、いつも輝いていよう。

失ったものを嘆いても前には進めない。悩みを抱えている自分も大切に。
嘆いてばかりいては、悩みも嫉妬も雪だるまのように
膨らんでしまう。悩みを抱えている自分をいとおしもう。

迷うことができるのも、一つの悩み。
迷った時は、「選択する自由」を与えられたと思って
プラスとマイナスを書き出し、その重みによって決める。

  

↑ の引用は扉部分の要約記述なので、本文はもっとエッセイ調に書かれています。
全体として文字数が少なく文字が大きめなので、活字が苦手な方にも読んでいただけると思います。

話ができる人生経験豊かな女性が身の回りになかなかいなくて…という方に、おすすめですよ!

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『動物に「うつ」はあるのか』加藤忠史・著

主に動物実験についての本ですが、いろいろと興味深い内容です。

動物にうつ病があるかどうかは、はっきりしていないそうです。
なぜならば、人間のうつ病のことがよく分かっていないので。

また、動物は「ゆううつだ」「だるい」などの言葉を発しません。
そこで、強制水泳試験などの実験で得られた数値を元に計測するしかありません。
(強制水泳試験=深い水槽に入れて、どれだけもがく動作をするのかの時間を計測する実験方法)
他の病気のように、動物実験で薬が作れますという段階には至っていないのが現状だそうです。

なお、うつ病と統合失調症のモデルマウスは存在するとのことですが、
双極性障害の反復性を示すモデルマウスはまだ存在しないそうです。
双極性障害に効く薬は、他の病気に効くものがひょっとしたらこれにも効くかも?という方向で得られたものですので、今後モデル動物の開発が成功したら、更に効く薬が出てくるかもしれませんね。

mouse
photo by Mark Fowler

また、本書の後半では「臨床研究と基礎研究」について焦点が当てられ、
同じく医学の発展に寄与する研究にも、元の動機からして違う2つの研究があることが分かりました。

最終章だったと思いますが、本書で心に残った言葉があります。
精神疾患をなくせというのは、人間の多様性をなくせということにもなる。
ということです。(一字一句はちょっと違うはず。メモっていませんでした。)

精神疾患が薬や治療で完璧になくなる日など来ないでしょう。
副題の『「心の病」がなくなる日』は、そんな日は来ないという反語だと思います。

この本は表題よりずっと硬派な内容で、医療の研究現場の特に動物実験についてを知ることが出来ます。
「私が飲んでいる薬がこんな動物実験で開発されたのかもしれない」と知っておくことは損にはならないですよ。
(少々難しい内容もあるので、活字が苦手でない方向きです)

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脳卒中から回復した脳科学者が書いたものすごい「奇跡の脳」著ジル・ボルト・テイラー

Six Books
TEDの番組で紹介されていたので知ったジル・ボルト・テイラー博士。
こんな素晴らしい人が本を出していないはずが無い、と思って探したらやはりありました。
2009年に出版された「奇跡の脳」です。

この本はすごいです。
すごい3大ポイント
脳卒中で脳がだんだんと機能不全になる様子が克明に描かれている

わずか数時間のできごとを非常に精緻に、そして脳科学者ならではの脳の機能に注目した、他では類を見ない体験談が読めます。
電話をするために名刺カードを探す場面で、もう文字や数字がよく分からないので、一枚ずつイメージ的に探した等の話がリアルです。

わたしの脳はもはや、文字を文字として、シンボルをシンボルとして、地を地として判別することができませんでした。それどころか、名刺は小さな画素を寄せ集めた、抽象的な敷物のように見えたのです。全体的に、名刺というものを形作る断片をごちゃ混ぜにしたような感じ。言語の記号を作っている小さな点々が、名刺の地の色の点々と混ざり合っていました。

脳卒中からの回復ストーリーが希望をもたらす

あれほど何も出来なくなったはずなのに、彼女の回復ぶりがもう「奇跡の脳」そのものです。
人間の治癒能力って底知れないし、回復への熱意の成果もあったことと思います。
文字を覚え直すところから、人生をリスタートするのです。
私も病気で一度ぶっ飛んでから自分の人生は2周目だと思っているのですが、この方は更に上を行っています。尊敬します。

うまく回復するためには、できないことではなく、できることに注目するのが非常に大切。
毎日、何かを達成できたことに喜びながら、どれほど上手くできたかにだけ笑点を絞り続けました。歩けるか、話せるか、自分の名前を覚えていられるか、といったことにはいちいちこだわらない。

「右脳マインド」のスピリチュアルともとれる表現

脳科学者であるというバックグラウンドを考えると、信じられない表現が後半には出て来ます。
一体全体どうしちゃったの?やっぱり頭おかしい?と思われてしまうような。
しかし、この「右脳マインド」こそが、この本の大事なところだと思います。
誤解を恐れずに、これを記した勇気は表彰ものです。

実は、私も陽性症状が一番ひどかった頃に、この右脳体験をしました。
人間を個別に隔てる壁の存在が薄くなって、世界が液体のように溶けてくる感じです。
幸福感と一体感がそこにはあります。
(オカルトやスピリチュアルで「ワンネス」と呼ばれるものの正体でしょう)

脳卒中によってひらめいたこと。
それは、右脳の意識の中核には、心の奥深くにある、静かで豊かな感覚と直接結びつく性質が存在しているんだ、という思い。右脳は世界に対して、平和、愛、歓び、そして同情をけなげに表現し続けているのです。

こちらから、TEDでの講演ビデオを見ることができます。(日本語字幕付き)

実物の脳がこんな色とは、そして、左右にこんなにパックりと割れていることを、私は知りませんでした。
右脳左脳と脳梁があるということは知っていたのですが…。見ることは知ることですね。

本「奇跡の脳」は今年3月に文庫化してお求めやすくなりました。図書館にもある確率高そう。
文庫本は在庫が無くなってしまったようなので、ハードカバー版のリンクに貼り替えました。(5月26日)

更に知りたい方は、こちらの記事(全3回)もどうぞ。

脳卒中になった脳科学者の本――50万部ヒット、『奇跡の脳』がもたらすもの:日経ビジネスオンライン
『奇跡の脳』に聞く、「左脳の時代」を生き抜く術 ~みんなタモリさんを見習おう!:日経ビジネスオンライン
『奇跡の脳』が経済危機脱出の扉を開く:日経ビジネスオンライン

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当事者家族の必読本「マンガでわかる!統合失調症」中村ユキ著

これは統合失調症の家族を持つ人におすすめの一冊です。なんといっても分かりやすさが良い!
病気の本というと専門書のような読みづらいものを想像するかも知れませんが、これはコミックエッセイです。

中村 ユキ、当事者のみなさん、福田 正人
日本評論社

すでに「わが家の母はビョーキです」を出されている中村ユキ氏が、ほのぼのとしたタッチの絵柄で分かりやすく統合失調症を解説しています。
病気で活字が読みづらい当事者にも向いていると思います。

章立ては、統合失調症とはどのような病気であるかをエピソードを例に説明、その後に予防と回復を高める生活のヒントや、中村家流の工夫が紹介されています。

中でも「じょうずにつきあう10ヵ条」は、なかなか良くまとまっていると思います。
自分の病気について学ぼう
効果と副作用を知って服薬する
自分の体調変化(再発のサイン)を知ろう
体調が悪いときの対策を練ろう
睡眠不足・過労・ストレスに注意!
困った時、体調が悪いときはすぐに相談
自宅以外に居場所を持とう
周囲に理解者・仲間をつくる
社会資源を活用しよう
今の自分を受け容れて、生きやすく変わろう

この中で1番は重要です。
「病気はお医者様が治してくれるもの」「自分は門外漢」と思って自分から病気について知ろうとしない人は、トータルで大損をします。

また、10番も大事です。
治らない・治りにくい病気ですので、それを受け入れることをしない限り、生きづらいものです。

この本には、他にも、「書き込み式 再発予防チェックシート」など使える書式も入っています。
是非、お手に取ってみてください。

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「心のなかの幸福のバケツ」に水を入れよう!

シンプルなバケツとひしゃくの理論で、自分も相手もハッピーになれます。

ポジティブな感情がどのような効果を持つかご存じですか?

・ネガティブな感情から守り、その悪影響を打ち消してくれる
・活力を与え、人を元気にする
・視野を広げ、自分とは違う考え方や行動に気づかせてくれる
・人種の壁を打ち破る
・苦しいときの「たくわえ」となる、じょうぶな体や心、頭、人間関係をつくる
・組織や個人が持っている力を引き出す
・(リーダーがポジティブな感情を積極的に示したとき)チームの成果を高める

身の回りの出来事を前むきにとらえる人は、早死にするリスクが低いことを発見した。
前向きな感情表現の多かった修道女のほうが、そうでない修道女よりも平均で10年寿命が長かったのだ。
ネガティブな感情をいだくことは、たばこを吸うこと以上に寿命を縮めてしまうのだ。

前向きな人ほど感染症を防ぐT4細胞が多く、免疫力が高いことがわかっている。
ポジティブになれば医療費だって抑えられるかもしれない。

どうですか。ポジティブでいた方が断然お得です!

この本はポジティブ心理学の入門に最適な一冊です。
中心となるのは、バケツとひしゃくの理論です。

人は誰でも心にバケツをもっている。
バケツの水があふれているときが最高の状態だ。
逆にバケツが空のときが最悪の状態だ。

人はバケツのほかに、ひしゃくももっている。
他人と接するときは、かならず、このひしゃくを使う。
相手のバケツに水を注ぐこともあれば、
バケツから水をくみ出すこともある。

誰かのバケツに水を注げば、自分のバケツにも水がたまる。

自分がしている行動が相手のバケツから水をくみ出してしまっているのか、それとも水を注いでいるのか、普段から意識してみましょう。
相手に水を注げば、自分のバケツにも水がたまるという点が重要ポイントです。
相手にあげると無くなってしまうのではなく、与えた側にも増える魔法の水なのです。

ポジティブになるための5ヵ条です。

1.バケツの水をくみ出すのをやめる
2.人のよいところに注目する
3.親友をつくる
4.思いがけない贈り物をする
5.相手の身になる

ポジティブであることは仕事にも好影響をもたらします。

従業員を認め、褒めれば、職場の雰囲気はがらりと変わる。たったひとりでも、バケツに何度の水を注ぐことによって、全体の雰囲気を明るくすることができる。
上司がポジティブな感情を伝えている組織では、部下の気持ちが明るくなり、仕事の満足度が上がり、団結心が強まり、グループ全体の成果があがることが、さまざまな調査結果からわかっている。

極端にネガティブな人、まったくやる気のない人は、アメリカだけで2200万人以上いると推計される。
生産性が下がった分だけでも、アメリカでは年間2500億ドル~3000億ドルが失われている。

さぁ、人のバケツにどんどん水を注いで、自分のバケツも満たしましょう。
特に「最初の会話で相手のバケツに水を注ぐ」のがポイントです。

本書には15項目からなる「ポジティブ度テスト」も収録されています。
また、「ストレングスファインダー」のテストがWeb受験できるシリアルナンバーもついてきます。(1回しか使えないので中古本は買っちゃダメです)

ストレングスファインダーは自分の強みが分かるテストです。
私はストレングスファインダーで出る5つの強みのうち1つが「ポジティブ」でした。
当たってます!

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明日できることは今日やらない仕事術「マニャーナの法則」

Six Books
逆転の発想っぽいケド、実は基本に忠実な仕事術です。

さぁ、今日来た仕事で、本当に今日中にやらないといけない仕事はどれでしょうか?

この本の基本は、
入ってきた仕事は、一旦、「バッファゾーン」に投げ入れて、
「今すぐ」「今日中に」「明日やる」
に振り分けます。

一回バッファに入れるのがポイント。
即時性が高いものばかりやっていると、本当は大事なことをやりそびれてしまいます。
タスクの中から、本当に今日やらなくてはならないことに集中して実行しましょう。

大きめの仕事「プロジェクト」は「タスク」に分解しましょう。
粒が大きいと実際にやるときに困ります。
タスクのみを書いたタスクダイアリーを作るのが良いです。
また「ファーストタスク」に1つ、毎日、最初に行うことを書いておきましょう。

 私的にはこのファーストタスクを書き出すのは当たり作戦です。
 朝ぼけっとして何からすべきか考えるより、前の日の仕事モードの自分が決めた仕事の方が的確です!

「TO DO リスト」がどんどん増えてしまう人、「WILL DO リスト」を作りましょう。
やりたい仕事だけを書いていきます。

また、コミットメントと興味は区別しましょう。

本当の仕事をしましょう。
それは、チャレンジングであなたにしかできないことです。

うーん。良い本ですよ。タイトルだけ見るとサボる術みたいですが、そうではないです。

ちなみに、マニャーナはスペイン語で明日という意味です。
アスタ・マニャーナ!(また明日!)

マーク・フォースター
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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「精神病院を捨てたイタリア捨てない日本」大熊一夫の感想

イタリアに出来て日本に出来ないもの。
失礼ながら、まさかそんなものがあるとは思いませんでした。
この本では、ジャーナリストである著者がイタリアの現地に飛び、イタリアの精神医療について取材してあります。

この本を理解するにあたり、映画「人生、ここにあり!」を抜きには語れないでしょう。
この映画を観ると分かるのですが、イタリアでは精神病を持っている人も地域で暮らしており、仕事も持っています。
なぜそんなことができるようになったのか?
この本を読むと分かります。

かつてはイタリアでも精神病患者は例に漏れず酷い扱いをされていました。
閉じ込められたり、鎖で繋がれたり。
日本でも1964年にライシャワー米国大使が統合失調症の少年に刺される事件があり、危険な人びとは野放しにできないという風潮が広まっていました。

しかし、改革の父バザーリアの考えは違いました。(下線は私が追加)

鉄格子や鉄の扉の奥に押し込めることを正当化するような精神状態など、本来ないのだ。精神病者の、ときおりの暴力は、結果である。施設の中での抑圧で引き起こされた人間としての反応である。つまり、それは精神病院が引き起こす病気。精神病院などやめて人間的存在たりうる温かい状況に置くことができれば、精神病者の暴力などなくなるのだ

多くの精神科医が、重い統合失調症の患者を病院に入れて、完治してないといっては入れっぱなしにする。ところが、病院の外で生活するには、なにも完治する必要はない。患者は専門家の支援のもとで自分の狂気と共存できるのだ。精神科医の変革を待っていたって何も変わらない。今は、大きな文化活動を起こして、精神科医が変わらざるを得ない状況をつくることこそが大事なのだ

バザーリアは悲惨な現状を訴える写真集を出して内部告発もしました。
そして、1973年2月25日、入院者400人を先頭に1000人の行列がトリエステの街を練り歩きました。「貧者の大行進」です。

そのような活動が身を結び、WHOがトリエステを精神保健サービス事業のパイロット地区に指定しました。
1978年にはマニコミオ(イタリアの精神病院)を閉めるための法律180号法を、キリスト教民主党と共産党がイデオロギーを越えて実現させました。
①精神病院を新しく造ることは禁止。すでにある精神病院に新たに入院させることも禁止。
②予防、治療、リハビリは、原則として地域精神保健サービス期間で行う。
③治療は、原則として当人の自由意思のもので行われる。(矯正治療はありうるが歯止めあり)
④それまで県の責任だった精神保健行政の全てを州に移管する。

ここで疑問に思うのが、地域で精神保健サービスをするのはお金が掛かるのではないか?という点です。
これについては著者も同じ疑問を抱いていました。

日本で私は、地域精神保健サービスは精神病院と比べて高くつく、という話ばかり聞かされていた。しかしペッペは「昔の病院時代より今の地域精神保健のほうがはるかに安い」と断言した。バザーリアがサン・ジョヴァンニ精神病院長になった一九七一年、トリエステ県の精神科医療に使われたカネは年間六〇億リラ。それから一五年経った一九八五年の経費は百五〇億リラ。その一五年間に物価は約四倍上昇した。つまり七一年の六〇億リラは八五年の二四〇億リラに相当した。
ということは、八五年の時点で、九〇億リラ分、つまり三七パーセントも安くなったことになる。これは、患者が退院して町で暮らすようになったときに県が支給する補助金(日本の生活保護費に当たる)もふくめての数字だった。

37%も節約になるというのは意外でした。
病院での24時間体制の看護はコストがかかるのですね。

さて、地域に戻された患者の予後はどうだったのでしょうか。
カナダのヴァンクーバーの例が記載されていました。

八〇人を単位とした三群の病人について、治療効果が測られた。第一群は、精神病院に入れられっぱなしの人たち。第二群は、家庭に戻されたがケアを受けない人たち。第三群は、家庭に戻されて外来診療所のケアをうける人たち。結果は、第三群が一番うまくいって、しかもコストがさほどかからなかった。閉じ込められっぱなしの第一群は、治療効果もコストも最悪だった。

やはり閉じ込められっぱなしより、家庭に戻されつつも外来医療所のケアを受けるのが一番良かったそうです。
イタリアではトリエステ以外でも精神病院がどんどん無くなっていき、水の都ヴェネツィアでは、かつてマニコミオだった島が五つ星ホテルに生まれ変わったそうです。

私が精神科に入院したときに感じたのは、出られそうな人たちが全然出られないという違和感です。
大人しくて、誰にも危害を加えないような人が、私のいた急性期の病棟から慢性期の病棟に何人も移っていきました。
あっちに移ってしまった人はどうなったんだろう…。
私は退院できたから良いですが、ずっと閉じ込められていたらと思うと、背筋が寒くなります。

入院施設は陽性症状のひどかった私には必要で、最適なケアを受けられて今でも感謝していますが、一方で、慢性化した人たちを入院させっぱなしというのは、良かったのだろうかと思ってしまいます。
日本でも周回遅れで、この問題を解決しなくてはならない時が来るのではないかと思います。

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「統合失調症 その新たなる真実」岡田尊司は必読本!

この本は内容が多岐にわたるのに濃いという絶対おすすめ本です。
ただし入門本ではないです。最初の一冊としてはもっとやさしい本がいいと思います。

タイトルに「その新たなる真実」とありますが、自分が今まで知らなかったことがいっぱい書いてありました!
いろいろと衝撃を受けました。

統合失調症 (PHP新書)
統合失調症 (PHP新書)

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岡田 尊司
PHP研究所

まず、統合失調症の歴史的なところで、なんと聖書にもそれらしき人物が登場するのだそう。

「旧約聖書」サムエル記には、悪霊の声に悩まされ、心を乱すイスラエルの王サウルの話が登場する。エゼキエル書のエゼキエルには、幻視や幻聴があった。

あと、有名どころな芥川龍之介について。この「歯車」は青空文庫で無料で読むことが出来ます。

芥川は、三十二歳の頃から不眠症や神経衰弱の症状が現れはじめ、それは統合失調症の症状へと発展していった。三十五歳で自殺を遂げた後、遺稿として発表された「歯車」には、迫りくる病気の影に脅かされる状況が生々しく描かれていた。

それから、中原中也や、ムンク、ジャズトランペッターのトム・ハレルのことなど有名人的な話など。

妄想の仕組みも妄想にとりつかれたことのない健常者にも理解が進むようなたとえ話がありました。
妄想形成の論理破たん
大前提:親ならば、子どもが困っているときには優しくする。
小前提:うちの親は、子どもが困っているときに冷たかった。
結論:うちの親は、本当の親ではない。 ← これが妄想

自分の考えや言葉で表された表象が、事実とは違うということが理解できなくなる。シニフィアンとシニフィエを混同してしまうのである。

はいはい。そうですよ!私はまさにこんな状態になったことがあります。
あと、病状経験者として注目したのが以下の部分です。

近年、統合失調症の機能低下は、前頭前野の過剰な活動亢進によってもたらされていると考えるようになっている。つまり、頭が働きすぎることが、機能低下を引き起こしてしまうのだ。

本当に、そう。頭が高速回転しすぎちゃって、空振りスピンしている状態がまさに発症時のことです。

そして、この本の中で私が最も衝撃を受けたのが、呪術師の話です。

アフリカや中南米、アジアなどの開発途上地域では、近代的な精神医療ではなく、シャーマンや呪術師による土着の治療法が、今も生き残っている。これまで各地で行われた調査によると、こうした土着の治療法は、先進国の近代的な精神医療よりも、ずっと良好な治療成績と予後が認められている。多くの場合、一週間程度のごく短期間に回復し、回復率が九十パーセントにも上ると報告されている地域もあった。

回復率が90%ですよ?!民間療法で。

この状態に対して、土着のシャーマンは、次のような見立てと対応を行ったのである。「彼女はロカ(loca 気ふれ)であり、彼女の身内の者たちが正しくない行動をしたため超自然的な力が封印を解かれてしまい、彼女を苛むようになったと診断した。シャーマンは祈祷を行い、彼女の身内の者すべてが積極的に関与することを求めた。彼女の状態は父親の家に帰ることが必要であったが、家に戻って一週間で回復した
リチャード・ワーナー「統合失調症からの回復」

患者のせいじゃなくて他の人のせいということにして、身内を積極的に巻き込んでしまうのです。
そうしたら、一週間で回復!医者や薬の意味が……。(もちろんこれは一例にすぎないと思いますが)

この例に限らず、さまざまな地域の土着的治療を調査した研究者が異口同音に認めていることの一つは、患者だけに問題があるとは決してみなさず、患者に起きている超自然的な現象は、家族や共同体の問題だと受け止める点である。これによって、患者は「狂人」だとか「精神病患者」といった烙印を押されることなく、むしろ犠牲者として受け止められる。集団全体が、その人の回復にかかわることによって、それまであったわだかまりや不信も解消され、むしろ本人をみんなが積極的に受け入れるようになる。つまり、こうした治療とは、本人だけを共同体から切り離す方向ではなく、むしろ「再統合」をはかる営みなのである。

なんだか、社会のありかたが病を治さなくしているような気もしてきます。
他の章では有病率が国や地域で格差があるという話が出て来ます。
そこでも、フッター派やアーミッシュといった、伝統的な昔の暮らしの様式をしているところでは、有病率が低いとのことです。
統合失調症は現代病の側面があるということが見えてくるような気がします。

ここには書ききれませんが、他にも知っておくと良い情報がたくさんてんこ盛りの本です。
といっても新書なので分厚くなく、すぐに読めてしまいます。
是非、手に取ってみて下さい。

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全障害者に「困ってるひと」をすすめたい

「困ってるひと」はただ今話題の書で、Amazonで売り上げ10位にランクインしています。
原因不明の難病を発病してしまった若い女性のお話です。

と言ってもただの女子ではなく、ミャンマー難民問題などに取り組む社会貢献女子で、
行動力などはすごいです。
そして、明るくユーモラスな文体で、読む人をひきつけます。

気づいたら全身がカチカチに動かなくなり、熱もずっと下がらない。
そこから筆者の病名を解明する旅が始まりました。
難病過ぎて、原因不明で、どの医者でもお手上げ。
田舎に帰りなさいと言われる始末。

麻酔無しで筋肉組織を取られる検査や、電流を流される検査はとても痛そう。
しかも、後半では臀部の組織が液状化して流れ去ってしまい、「おしり洞窟」ができてしまいます。
こんなフルボッコな状態でも、筆者の支点はぶれません。

この本は「障害者=かわいそう」的思考に一石を投じるものです。
障害者になったからといって、元から持っている能力や資質はそのままあります。
それを使えるかどうかには制約が生じる場合もあるというだけです。

こちらの連載を元にしているので、内容が気になる人は読んでみたらいかがでしょう。
大野更紗: 困ってるひと 第0回 絶望は、しない  | ポプラビーチ

筆者のツイッター 大野更紗 Sarasa Ono (wsary)

困ってるひと
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大野 更紗
ポプラ社

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